ARCHITANZ 2014 2月公演


森山開次バリ島滞在クリエーション報告
『バリ島からの手紙』

バリでは、いろんな音がきこえてくる。
海外で耳が敏感になっているせいもあるかもしれないが、虫の音、鳥の声、街の音、風にのって遠くからはガムランの音・・ さらには祈りの歌まで。それだけではなく、実際耳に届くはずの無いさまざまな音まで、ここではきくことができる気がするのです。
 私は今、文化交流使として数週間ウブドゥに滞在し、地元の人達との交流や生活に根ざした芸能を肌で感じながら、交流活動をしています。今回交流している一人のデワ・アリットさんは、伝統を敬いながらも新しい挑戦をしている、バリを代表する素晴らしいガムラン奏者であり作曲家です。彼の半屋外のスタジオで、「羽衣」をモチーフに作品を創作しています。
「羽衣」は日本の昔話としてもさまざまな形で残っていますが、ご存知のとおり、能の代表的な演目でもあります。また東南アジアにも「羽衣伝説」と類似する物語が残っており、興味深い題材として選びました。
2014年2月、デワ・アリットさんを日本に招聘し、この成果を『アーキタンツ2014』で発表できることを心から嬉しく思います。また、観世流能楽師の津村禮次郎さんにもご参加頂き、日本とバリの文化がより深く融合した作品を目指したいと思います。
バリで体験した音とともに、ここで発見した新しい自分を存分に発揮して踊りたいと思います。どうぞご期待下さい。 

2013年10月31日 バリウブドゥにて    
               森山開次